きみが窓を見なくなるまで
校門を出てから、しばらく二人とも黙っていた。

気まずいわけではなかった。

ただ、次に話すとき、名前を呼ぶかもしれない。

そう思うと、言葉を一つ余計に選んでしまう。

信号の前で止まったとき、隼人くんが言った。

「今日、二冊できた」

「うん」

「次はもっと早いかも」

私は少し笑った。

「急がなくていいよ。ずれるから」

「それ、俺が言われるんだ」

足のことを思い出して、私も笑った。

隼人くんがこちらを見る。

街灯の明かりが、目元へ掛かった。

私は一度目を合わせてから、前へ戻した。

名前を呼べなくても、隣にいられた。
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