きみが窓を見なくなるまで
翌朝、教室で名前を呼ばれるのか、少し気になった。

でも、隼人くんはいつもどおり「おはよ」と言っただけだった。

私は返事をして、席へ向かう。

ほっとした。

そのあとで、少し残念になった。

みなみが隣へ来る。

「妃菜、昨日ありがと」

「……何が?」

「これ」

机へ置かれたのは、小さなメモだった。

この前、話していた推理小説の題名を、私が書いたもの。

「図書室で借りられた」

「もう?」

「うん。昨日、部活のあと寄ったの」

私は顔を上げた。

昨日、私たちが帰ったあとだろうか。

みなみは鞄から、濃い緑色の文庫本を出した。
< 250 / 385 >

この作品をシェア

pagetop