きみが窓を見なくなるまで
「先生、まだいた?」

聞くと、みなみが頷く。

「うん。ちょっと遅かったから、だめかなって思ったんだけど」

「借りられてよかった」

「高木にも会ったよ」

私は本の表紙から目を上げた。

「……そうなの?」

「うん。校門のところ。忘れ物したって戻ってきた」

昨日、駅へ向かう途中で別れたあと。

私は鞄の持ち手へ触れた。

みなみは何も気づかない様子で、本を開く。

「妃菜に教えてもらったって話したら、知ってるって」

「その本?」

「そう。面白いって言ってた」

私は頷いた。

自分が勧めた本の話だった。

それなのに、続きを聞くのが少し怖くなった。
< 251 / 385 >

この作品をシェア

pagetop