きみが窓を見なくなるまで
「私の話、したの?」

聞くつもりではなかった。

言ってしまってから、机へ視線を落とす。

隼人くんは、少し間を置いた。

「本のこと、少し」

「うん」

「遠藤、意外だったって。妃菜がああいうの読むの」

名前を呼ばれて、指先が動く。

私は机の端を押さえた。

教室で、初めて呼ばれた。

でも、そのうれしさを受け取る前に、みなみの名前が胸へ残った。

「……みなみ、明るいから」

隼人くんが首を傾ける。

「うん?」

「誰とでも、話しやすいよね」

彼は少し考え、頷いた。

「そうだな」

私は口元だけで笑った。
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