きみが窓を見なくなるまで
「もうすぐだな」

「うん」

「今日、読み終わりそう?」

私は頷きかけた。

でも、閉館まで十分もない。

「……家で、読むと思う」

「そっか」

隼人くんは、私の向かいの椅子へ片手を置いた。

座るのかと思った。

私は本を少し自分のほうへ寄せる。

彼の視線が、その動きを追った。

それから、壁の時計を見る。

「今日、陸待たせてるから」

私は手を止めた。

「うん。大丈夫」

返事が早すぎた。

隼人くんは私の顔を少し見て、置いていた手を離した。

「明日、聞く」

私は頷いた。

「うん」

また、約束は残った。
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