きみが窓を見なくなるまで
翌朝、彼は約束を覚えていた。

私の席へ来て、机の端に指を置く。

「読み終わった?」

私は顔を上げた。

「……うん」

「どうだった?」

彼は立ったまま、続きを待つ。

私は昨日の夜、最後まで読んだ場面を思い出そうとした。

手紙を出して。
帰り道で、何かを見ていた。

そこまで読んだことは覚えている。

でも、最初に何を話したかったのか、出てこなかった。

「あれ」

小さく声が出た。

隼人くんが首を傾ける。

私は本を探そうとして、鞄へ手を伸ばした。

机の上に、もう出してあった。
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