きみが窓を見なくなるまで
球技大会は、その週の木曜日だった。

朝から、教室の空気が違った。

机の間で髪を結ぶ人。
ジャージの袖を引っ張る人。
対戦表を何度も見直す人。

みなみが私の前へ来た。

「今日、何回つなぐ?」

私は黒いゴムを指へ掛けたまま、考えた。

「……取れる分」

みなみが目を丸くする。

それから笑った。

「いいね。それでいこう」

私は髪を集めた。

結び目を締めると、視界が少し広くなる。

高木くんが隣を通りかかった。

「頑張れ」

私は顔を上げた。

「うん」

今度は、上手くできないかもしれないと先に言わずに済んだ。
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