きみが窓を見なくなるまで
「妃菜、こっち見てただろ」

私はすぐには頷けなかった。

見ていた。

手も。
横顔も。
ページを戻すところも。

覚えている。

「……うん」

小さく答えた。

隼人くんが、短く息を吐く。

「顔上げたら、窓に映ってて」

私は膝へ目を落とした。

「それで、振り返った」

あのとき。

私だけが、見つめていたわけではなかった。

私が彼を見る顔を、彼も見ていた。

私は片手で頬を押さえた。

熱かった。

あの日より、ずっと。
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