きみが窓を見なくなるまで
「遠藤のこと、そういうふうに思ったことはない」

彼が言った。

私は顔を上げたまま、頷いた。

「去年、同じクラスだったから話すけど。それだけ」

一つずつ、言葉が届く。

「妃菜のこと話したのも、遠藤と話したかったからじゃない」

胸の奥へ、少し痛みが走った。

そこまで言っていないのに。

彼は、気づいたのだろうか。

隼人くんは私の顔を見て、声を少し落とした。

「妃菜が、いつも一緒にいる友達だから。俺の知らないこと、知ってるんだと思ってた」

私は膝へ置いた手を、ゆっくり開いた。

知らないことを、知りたかった。

私も、ずっとそうだった。
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