きみが窓を見なくなるまで
眉間に力が入っていると気づいて、指で軽く触れた。

本を読むのに、こんなに真剣な顔をする必要はない。

誰かに見られたら、難しい勉強でもしていると思われそうだった。

読んでいるのは、休みの喫茶店へ通う人の話なのに。

私は背もたれから少し体を起こし、次のページを開いた。

主人公は結局、伝えたかった言葉を手紙に書いた。

そして、渡さないまま、店の前で雨に降られた。

そこまではよかった。

その次の行で、私は小さく息を漏らした。

手紙より先に、買ったばかりのパンを雨から守っていた。

大事な順番が、正直だった。
< 36 / 385 >

この作品をシェア

pagetop