窓際の高木君
第二章 本の話から
「それ、面白い?」

高木くんの視線は、私の手元に落ちていた。

開いたままの文庫本。

私は表紙を確かめるように、少しだけ本を持ち上げた。

「……これ?」

「うん」

本の場所でも、貸出手続きでもなかった。

用意していた返事が使えなくなって、私は彼と本を交互に見る。

面白いかと聞かれれば、面白い。

でも、たぶん、高木くんが知りたいのは私の読書感想文ではない。

「面白いけど」

そこまで言って、止まった。

高木くんは続きを待っていた。

急かす様子もなく、カウンターの向こうに立っている。

私は本の角を親指で撫でた。

「人には、勧めにくいかも」

「なんで?」

今度は、少しだけ目が合った。
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