きみが窓を見なくなるまで
遠藤みなみは、話しているとよく表情が変わる。

驚いたことを話すときは、自分でももう一度驚いた顔をする。
腹の立ったことでも、最後には少し面白い話になっている。

今日は、部活中に打ったボールが、先輩のボールかごへ直接入ったらしい。

「狙ってないときに限って、すごいところ入るんだよね」

「入れようとしたら、入らなさそう」

「絶対入らない。あ、でも妃菜、やってみたら案外うまそう」

「私?」

「うん。変に力入らなそうだし」

ラケットを持つ自分を想像してみる。

ボールが飛ぶより先に、ラケットが飛ぶところまで想像できた。

「……見るほうが向いてると思う」

「そっか。じゃ、いつか見に来て」

みなみはそう言って、次のおかずに箸を伸ばした。

いつか。

その言葉を、私は少しだけ大事に受け取った。
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