きみが窓を見なくなるまで
「借りられる?」

「これは私のだから……」

そこまで言うと、高木くんはすぐ頷いた。

「ああ。そっか」

「でも、同じのがあるかも」

引き止めるみたいな早さで言ってしまった。

私は椅子を引き、カウンターの端末を自分のほうへ向ける。

題名を入力する。

普段なら間違えない文字を、一つ消した。

背中の少し先に、人が立っている。

それだけで、指先の動きがぎこちなくなる。

検索結果は、一件だった。

貸出中の表示はない。

「ある」

声が少し明るく出た。

自分で気づいて、画面から顔を上げるのをためらった。

「探してくるね」

「場所わかれば、自分で行くけど」

「大丈夫。すぐそこだから」

私は、必要以上に静かに椅子を戻した。
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