きみが窓を見なくなるまで
文庫の棚は、カウンターから二つ目だった。

背表紙の文字を追う。

隣へ、もう一冊隣へ。

題名が見つからない。

画面にはあったのに。

指先で本を一本ずつ確かめていると、後ろで足音が止まった。

「この辺?」

高木くんがいた。

「あ、うん」

一人で来たつもりだったから、少し驚く。

彼は私の隣ではなく、半歩後ろに立った。

「題名、なんだっけ」

「木曜日の余白」

「木曜……」

小さく繰り返して、棚を見る。

私は著者名をもう一度思い出した。

順番を一段間違えていた。

下の棚に、見覚えのある薄い青色がある。

「あった」

しゃがんで、本の上端に指を掛ける。

引き出そうとしたら、隣の本までついてきた。
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