きみが窓を見なくなるまで
その日の放課後は、当番ではなかった。

帰りのホームルームが終わっても、私はすぐに席を立たず、机の中を確かめた。

忘れ物はない。

明日の提出物も入れた。

文庫本もある。

図書室へ寄る用事は、特になかった。

「妃菜、帰る?」

みなみに聞かれ、私は頷いた。

「うん」

「じゃ、途中まで一緒」

彼女はテニスバッグを持ち上げた。

教室を出て、廊下を歩く。

図書室へ曲がる角が近づいた。

私は一度だけ、そちらへ目を向けた。

閉じた扉は、ここからは見えない。

「今日ね、サーブの練習なんだけど」

みなみの声に顔を戻す。

「うん」

今度は、ちゃんと話を聞いた。
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