きみが窓を見なくなるまで
「……入りたい?」

私は本を持ったまま、聞き返した。

「うん」

「でも、休みの日にしか行かないよ」

「だから」

高木くんが、カウンターの端へ視線を落とす。

言葉を探しているらしかった。

私は返却用の機械に本をかざした。

短い電子音が鳴る。

その音のあとで、彼が続けた。

「開いてる日に行かなかったら、入れないのは店のせいになるじゃん」

手が止まった。

「閉まってるから、入れない」

「うん」

「……自分が入りたくないんじゃなくて?」

「入りたいけど、入れなかったら嫌なんじゃない」

私は表紙を見る。

知っている本なのに、さっきより少しわからなくなった。
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