きみが窓を見なくなるまで
私は、あの主人公が店の前にいる時間を、好きなのだと思っていた。

誰にも話しかけられずに済む。
注文しなくていい。
帰りたくなったら帰れる。

その自由が、心地いいのだと。

「私は、外にいるのが好きなのかと思った」

言うと、高木くんは頷いた。

「それもあると思う」

あっさり返ってきた言葉に、私は少し戸惑った。

「でも、高木くんは、入りたいんだと思ったんでしょ?」

「うん」

「どっち?」

彼が私を見る。

「両方じゃだめなの?」

私は口を開きかけて、閉じた。

高木くんは、本へ目を戻した。

「入りたい日も、外にいたい日もあるんじゃない」
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