きみが窓を見なくなるまで
「うん」

声が、思ったより小さくなった。

私はもう一度、頷いた。

「読み終わったら」

高木くんはそれを確かめるように、短く「うん」と返した。

それから、窓際へ向かった。

今日は別の本を選んでいる。

私は返却された一冊を棚へ戻した。

背表紙を揃え、指を離す。

いつもと同じ作業だった。

けれどカウンターへ戻るとき、少しだけ足取りが軽かった。

約束というほど、大きなものではない。

いつ、どこで、とも決めていない。

それでも、次に話しかける理由がある。

私には、それがうれしかった。
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