きみが窓を見なくなるまで
コートの奥から、明るい声がした。

聞き覚えがある気がして、私は少し体を傾ける。

けれど、ここからでは顔までわからない。

高木くんは動かなかった。

肘を机に置き、口元のあたりへ手を添えている。

その横顔を、私は本の上から見ていた。

さっき、私と話していた人。

同じところで笑った人。

今はまた、私にはわからないものを見ている。

一緒に見ようとしても、何を見ればいいのかわからなかった。

私は本へ視線を戻した。

指で押さえていたページに、少しだけ跡がついていた。
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