窓際の高木君
閉館前、高木くんがカウンターの前を通った。

「じゃあ、また」

私は顔を上げた。

彼がこちらを見ている。

「……うん。また」

返事をすると、高木くんは軽く手を上げた。

扉が閉じる。

私は、その音が消えるまで顔を戻せなかった。

また。

明日も同じ教室で会う人に、言われただけだ。

それでも、その言葉の中に、図書室での次の時間が入っている気がした。

私は文庫本へ栞を挟んだ。

最後まで読んだら、話すことができる。

早く読みたいと思った。

でも、少しだけ。

読み終わるのが、もったいないとも思った。
< 63 / 385 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop