きみが窓を見なくなるまで
「えっと」

私はノートの端を指で押さえた。

主人公が店へ入らなかったこと。
でも、きっと次があると思ったこと。

図書室なら、もう少し話せた気がする。

教室には椅子を引く音も、近くで話す声もあって、どこへ向けて声を出せばいいのかわからなくなった。

「……前と、少し変わった」

高木くんが頷いた。

続きを待つ顔だった。

そのとき、予鈴が鳴った。

「あ、また今度でもいい?」

口にしてから、逃げたように聞こえたかもしれないと思った。

けれど彼は、すぐに頷いた。

「うん。あとで」

前を向いた彼の横で、陸くんが何か小さく尋ねる。

高木くんは机の中から教科書を出しながら、「本の話」と答えた。
< 66 / 385 >

この作品をシェア

pagetop