きみが窓を見なくなるまで
授業が始まっても、私はその一言を覚えていた。

本の話。

そう。
それだけだ。

自分が思うほど、特別な説明は要らない。

先生が黒板に作者名を書いた。

私はノートへ写しながら、最後の一文字を少し間違えた。

消しゴムを取る。

高木くんの背中が、視界の先にある。

さっき、すぐに「あとで」と言ってくれた。

話したくないのではなく、今は話しにくいのだと、わかってもらえた気がした。

たぶん、そこまで考えていないのかもしれない。

私は消したところを指で払った。

考えていなくても、助かったことは変わらなかった。
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