きみが窓を見なくなるまで
喫茶店へ通う人の話をすると、みなみは真剣に聞いていた。

それから、パンをひと口かじって首を傾げた。

「私だったら、開いてる日に行くなあ」

「うん」

「で、ケーキも頼む」

「まだメニューにあるかわからないよ」

「喫茶店なら、何かしらあるでしょ」

その確かさが、少しおかしかった。

みなみは口元を押さえて笑う私を見て、うれしそうに目を細めた。

「でも、妃菜が話すと気になる。今度見せて」

「……うん。持ってるから」

「ほんと? じゃあ、読み終わったら貸して」

もう読み終わっている。

そう言いかけて、私は鞄へ目を落とした。

高木くんと話すとき、手元にあるほうがいい気がした。

「明日、持ってくるね」

「ありがと」

本を一冊読んだだけなのに、話す相手が二人になった。
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