きみが窓を見なくなるまで
棚の場所を伝えると、高木くんはすぐに見つけた。

背表紙を確かめ、隣の本を少しずらす。

足元へ落ちた影が、廊下からの光と重なる。

私は別の棚へ本を戻しながら、その手つきを一度だけ見た。

急いでいるわけではない。

でも、迷いが少ない。

本が入る幅を作り、押し込みすぎずに指を離す。

教室でプリントを回していた手と同じだ。

そんなことまで考えてしまって、私は視線を戻した。

今は、本を戻すだけでいい。

自分へ言い聞かせたところで、隣の棚から声がした。

「この前の続き、聞いていい?」

私は背表紙に置いていた指を離した。
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