きみが窓を見なくなるまで
「そこ?」

「だって、あんなに迷ってたから」

「コーヒーじゃない?」

「コーヒー、飲めないかもしれないよ」

「喫茶店通ってんのに?」

「入ったことないし」

高木くんは口元に手を当てた。

肩が、わずかに揺れる。

私は少しだけ得意になった。

笑わせようと思ったわけではなかった。

でも、自分の言ったことで彼が笑うのは、うれしかった。

「じゃ、何」

「……ホットミルク」

「急にかわいいな」

「注文、難しくなさそう」

「いや、コーヒーも難しくないだろ」

その言い方がおかしくて、私も笑った。

先生が奥で紙を揃える音がする。

私は慌てて口元を押さえた。
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