きみが窓を見なくなるまで
高木くんも、声を落とした。

「ごめん」

誰に向けたのかわからない小さな謝り方だった。

私は首を横に振る。

少し笑いが残っていて、うまく返事ができなかった。

図書室でこんなふうに話すのは、初めてかもしれない。

静かでいられるから好きだった場所で、声を出すのを我慢している。

それが嫌ではない。

高木くんは椅子に座り直し、私の本へ目を落とした。

「それ、読み終わったらどうすんの」

「友達に貸す」

「そっか」

「今日、話したら読んでみたいって」

「また感想変わりそう」

私は顔を上げた。

「……うん。そうかも」

一冊の本が、少しずつ違うものになっていく。
< 78 / 385 >

この作品をシェア

pagetop