きみが窓を見なくなるまで
会話が途切れても、高木くんはすぐには立たなかった。

私は本へ栞を挟み直した。

もう読み終わっているのに、癖で最後のページへ入れる。

彼の視線がその動きを追って、少しだけ笑った。

「また戻る?」

「たぶん」

「じゃ、貸す前に忙しいな」

「……本当に」

そう答えると、高木くんが椅子を引いた。

私は少しだけ顔を上げる。

「ありがと。聞かせてくれて」

「ううん」

感想を話したのは私なのに、礼を言われた。

彼は近くの棚で本を一冊選び、窓際へ向かった。

私はその背中を、今度は隠すほどでもなく見送った。

話したあとの沈黙は、前より静かだった。

気まずさがないぶん、外の音までよく聞こえた。
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