きみが窓を見なくなるまで
窓際へ目を上げたとき、高木くんの口元が緩んでいた。

頬杖をついた手で、半分隠れている。

私は、自分の笑いが聞こえたのかと思った。

でも、彼は窓を向いていた。

外で、短い歓声が上がる。

テニスコートだった。

ボールを拾いに走った女子が、ほかの部員へ何か言っている。

私は窓の向こうを探した。

何があったのだろう。

高木くんが笑うくらい、面白いこと。

さっきまで自分も笑っていたのに、急に少し落ち着かなくなった。

本の感想を話していた時間が、遠くなる。

私は当番ノートを閉じた。
< 81 / 385 >

この作品をシェア

pagetop