きみが窓を見なくなるまで
昼休み、みなみはまだ本を開かなかった。

代わりに、購買の新しいパンの話をしていた。

昨日、私が貸した小説について、今すぐ感想を聞く必要はない。

わかっている。

自分だって、読むのに時間がかかった。

でも、鞄の中の本が少し気になった。

「妃菜?」

「うん」

「これ、甘いと思う?」

見せられた袋には、栗の絵が描いてある。

「甘いと思う」

「だよね。お昼にするにはどうかなって」

「もう買ってるけど」

みなみが一度、袋を見た。

それから、困ったように笑った。

「ほんとだ」

私は箸を持ったまま笑った。

相手の反応を待ってしまう気持ちを、高木くんも少しは知っているのだろうか。
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