窓際の高木君
第四章 変えてみたくなった日
翌朝、髪は下ろしたまま家を出た。

黒いゴムは、制服のポケットに入っている。

使うつもりで入れたのか。
使わないと決めきれなかったから入れたのか。

玄関で靴を履きながら考えたけれど、答えは出なかった。

教室に着くと、みなみが窓際にいた。

「おはよう」

私に気づいて、手を上げる。

「おはよう」

隣へ行く途中で、高木くんの席が見えた。

まだ、来ていない。

机の横を通り過ぎてから、私はポケットに触れた。

細いゴムの輪が、布越しに指へ当たる。

誰にも見せていないのに、何かを引っ込めたような気がした。
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