名探偵は活躍しない~Season2~
 逢坂まりあ、高校2年生。
 泣く子も黙る逢坂財閥…逢坂一族の一人。
 私の父は、当主の弟、逢坂次郎太。
 父はメディアにばんばん顔出ししているので、ほぼ芸能人と言っていい。
 私の母は、私が3歳のときに亡くなっている。
 若い頃、女性関係が派手だったという父。
 数十人付き合ったモトカノの一人が私の母だったわけで。
 病魔に蝕まれた母は、自分の亡き後を案じて。
 父に私を託した。
 母は金銭面で私を支えてほしいと言ったと思うのだが。
 何故か父は私を養子として迎え入れ、現在に至るという状態である。

 一年前、私は誘拐され犯人たちに暴力を振るわれた。
 結果として、私は被害者だというのに悪いイメージをつけられ。
 週刊誌の良いネタにされた。
 それどころか、一族に笑われ。面白い話の一つとして付け加えられた。

「人のうわさは七十五日」と言った父は、私に海外留学を提案した。
 私にとって父のいう事は絶対だ。
 今回に関しては喜んで、アメリカ留学を受け入れた。

 楽しかった。一年間なんて、本当に一瞬だった。
 逢坂家が絡んでいないだけ、こんなに精神的に楽だなんて初めて知った。

「大福丸の5周年パーティーに参加しろ」
「大福丸って…客船ですよね?」
 豪華な屋敷の中に、突如として現れる「昭和の間」は。
 父が原点を忘れないようにと、昭和レトロなものを取り集めた空間の部屋だ。
 畳の上にちゃぶ台を置いて。
 私と父は質素な食事を食べている。
 忙しい父は、週に一度は必ず娘と食事をしよう…と考えたようで。
 お金持ちだというのに、ご飯味噌汁、漬物に焼魚におひたし…。
「そうじゃ、大福丸は知っとるだろ?」
 うん、豪華客船なのに、そんなダッセー名前を付けたときは、耳を疑ったもの。
「だけど、お父様。私、船は…」
「克服しろ」
 それだけ言うと、父は箸を投げ飛ばして立ち上がった。
 お行儀悪い…

 床に転がった箸を持ち上げる。
 部屋から出て行った父にため息をついた。
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