名探偵は活躍しない~Season2~
 大福丸は東帝県からH県を結ぶ航路で運航される。
 今やクルーズ船の需要なんて下がる一方じゃないかと思いきや。
 意外とご年配の方に人気だという。
 26時間でゆっくりと目的地に向かいながら、
 船内でデジタルデトックスが出来ると話題だそうな。
 豪華客船というわけだから、客室だけでなく、
 プールや映画館、トレーニングジムに、コンサートホール…
 逆に何がないの? と突っ込みたくなるくらい。
 一通りの娯楽は揃っているらしい。

「やっぱり、無理」
 口元をおさえると。
 私はトイレに直行した。
 うぇぇぇぇ…と声をあげて吐いてしまう。
「まさか、まりあさん。ここまで船酔いするなんて」
 ボディーガードの一人である結さんが背中をさすりながら言う。
「ごめんなさい、本当に昔から船は無理なんです」
「薬、もらってきましたよ」
 背後で狩谷さんの声がする。

 口元をハンカチで拭いて。
 部屋に戻って。
 狩谷さんから薬と水を受け取る。
「私、ちょっと横になります。2人はのんびりしていてください」
「わかりました」
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