ワンコなふりしてドSだなんて、どういうことですか!
 身長は二人とも一六〇センチ程度。露子は女らしいやわらかそうな体つきをして魅力的だ。私は痩せぎすで胸もたいしてない。顔だって化粧をしなければ大衆に馴染むような平凡な顔で、目尻が上がっているからキツく見られてしまうし、鼻もそんなに高くない。口は小さくて、露子はかわいい口だと褒めてくれるが、私は彼女の目尻の下がった目や表現力豊かな口が好き。

「もうー、褒め合ってどうするのよ」

 笑いながら夜の街を歩き、私たちは二軒目のバーへと滑り込んだ。その店は露子が恋人と時々来るらしい。

「いらっしゃいませー」

 その店は地下にあり、外の喧騒とは一線を画す静かな空間が広がっていた。

 薄暗い店内の壁はコンクリート打ち放しで、計算し尽くされたような角度でモダンな照明がところどころ照らしている。流れるのは、静かなジャズ。グラスの触れ合う音が心地よく響き、先ほどの大衆居酒屋とは対極にあるような、洗練されたざわめきに満ちていた。
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