ワンコなふりしてドSだなんて、どういうことですか!
 前を歩く露子は、ゆったりしたリブニットにワイドパンツという休日スタイルで、ショートボブから顔を出す耳には大ぶりのイヤリングが揺れている。一方の私はというと、誠一郎さんに会うつもりで選んだ一張羅のワンピースがいかにも特別な感じが滲み出ているようで、虚しく感じられた。

「しかし深結、今日は本当に綺麗だよ。スタイルもいいし、あんな奴には本当にもったいない」

「あはは、ありがと」

「あ、信じてないな? さっきの店だってナンパされそうになったじゃん」

 隣の席の客が『一緒にどう?』と誘ってきた。仕事帰りのビジネスマンという雰囲気の二人連れだった。露子が『今日はそんな気分じゃないのよ』と笑って断ると、彼らはそれ以上は誘ってこなかった。

「あれは露子目当てだって。露子のほうがモテる」
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