ワンコなふりしてドSだなんて、どういうことですか!
 それからひなちゃんはいくつか例を話してくれた。

〝つまらないものですが〟と言ったら、お相手の母親にそういう場合は〝お口に合うとよろしいのですが〟と訂正されたとか。

「そういう一つひとつが積み重なって、なんだか疲れちゃって。お互いに気持ちが離れてしまいました」

 家まで行ったのだからきっとお互いに結婚も考えていたのだろうに。
 今は落ち着いて話しているがとても悩んだはずで、我が事のようにつらくなる。

「そうだったの……」

「深結さんは? いないんですか? お付き合いしている人」

 ギョッとして顔を上げるとひなちゃんがにこにこと私を見ていた。

 隠すつもりだった。けれども彼女は私を信じて詳しく話してくれたのだから、私も応えなきゃいけないと思った。

「私、振られちゃったんだ」

「えっ、深結さんが振られるとかありえない」

 お世辞とはいえひなちゃんの過大評価にあははと笑う。

「なんかね、私じゃ結婚相手として役不足だったみたい」

 役不足。でも、本当にそうなのか。
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