ワンコなふりしてドSだなんて、どういうことですか!
「なっ……っ、と、年上を、からかわないでください」

 先輩としての威厳を保とうと必死に抗議すると、九条先生はくすくすと声を立てて笑った。

「あはは、すみません。でも、雪村さんの可愛い一面が見られてよかったです。資料の検討、よろしくお願いしますね」

 すっかりお見通しだと言わんばかりに目を細めた彼は、またいつもの爽やかな副院長の顔に戻ると、扉を開けて軽快な足取りで部屋を出ていってしまった。

 一人残された私は、火が出そうに熱い頬を手で押さえながら、大きくため息をつく。

 もう、なんなのあの人は……。

 気を取り直してあらためて資料を見ると、付箋紙が貼ってある。

【愛してる】

 なによこれ、ええ!??!

 ――その夜、私は自宅のベッドの中で、スマートフォンを握りしめたまま完全に放心状態になった。
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