ワンコなふりしてドSだなんて、どういうことですか!

 画面に表示されているのは、九条先生宛のSNS画面。

『ああいうことは、もうやめてください』
『私のことは忘れてくださいね』

 頭の中でいくつも断りの文句を組み立てて、メッセージを打ちかけては消し、打ちかけては消しを繰り返すうちに、気づけば時計の針は日付を越えていた。

 もうダメ、これ以上考えると明日の仕事に響くわ。

 結局、なにも送れないまま、スマートフォンを枕元に放り出し、掛け布団を頭から被った。


 そんな大混乱の夜明かしを経て、翌朝。

 どんよりとした寝不足の頭を抱えながら、制服に袖を通し、朝の業務をこなしていると、不意に後ろから声をかけられた。

「雪村さん、六号室の処置お願いできますか」
「はい、承知しました」

 先輩看護師に声をかけられてすぐさま病室に向かい、処置を終えてナースステーションに戻ると、ちょうど師長が入ってきたところだった。

「みなさん、ちょっといいですか」

 心臓外科医についての話で、先生はヘルニアの手術を受けることになり、復帰まで三ヶ月ほどかかる見込みだという。提携の大学病院からヘルプの医師が来ることがすでに決まっているので、大きな混乱はないだろうとのことだった。
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