ワンコなふりしてドSだなんて、どういうことですか!
 けじめをつけなければ。プライベートで会うなんてよくない。

 けれど。

『雪村さんには、いろいろ力になってほしいと思っています。皆さんどうしても俺には遠慮があるのか、いい面しか話してくれなかったりするのでね』

 彼のあの言葉には、この病院の後継者として真実があったように思う。
 病院では話せないことがあるのかもしれない。
 あれこれ考えると、無下に断る気にはなれなかった。

 そして迎えた土曜日――。

 南向きの窓から秋の日差しがやわらかく差し込む中、私はクローゼットの前で朝から腕を組んでいた。

 行くべきか、それとも今からでも断るべきか。私の心は千々に乱れていた。

 そして昨日の夜、迷った末に意を決して彼にメッセージを送ってみたのだ。

【夜分に恐れ入ります。土曜日の件ですが、いったいどのようなご用件でしょうか。事前に内容を教えていただけますと幸いです】

 年上の先輩ナースとして、あくまで業務的なトーンを意識して打ち込んだ文章。
 送信ボタンを押した直後から、スマートフォンを胸に抱えるようにして返信を待った。

 数分後、届いた九条先生からのメッセージは、案の定というべきか……。

【文字にはできない大事な用です】

 まったく。
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