ワンコなふりしてドSだなんて、どういうことですか!
「苦手なものは?」
「レバーくらいで、あとは大体なんでも」

「甘いものは?」
「好きです」

 食べ物の話が終わったかと思えば、休日の過ごし方、好きな季節、子どもの頃に習っていたことまで。永遠に続きそうな彼の質問攻めに、ついに私は音を上げた。

「じゃあ――」
「ちょ、ちょっと待ってください」

 思わず助手席のシートから身を乗り出すようにして、彼の声を遮る。
「どうしてそんなにいろいろ聞くんですか」

「雪村さんのことを全部知りたいので」

 さらっと、あまりにも自然に言われて、頭が真っ白になった。

 ものすごい告白のような。たいしたことではないような?
 どっちなのよと胸の中で叫んでも、九条先生は涼しい顔でハンドルを握っているだけだ。

 本当になんなのよ。

 答えの出ない問いが頭の中をぐるぐると回り、戸惑っている間にも質問は続いていて、気づけば家族構成や、親の年齢まで素直に答えてしまっていた。

「俺には両親のほかに兄弟が二人います」
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