ワンコなふりしてドSだなんて、どういうことですか!
 渇いた喉にワインを流し込むと、高ぶった気持ちを冷たいワインが鎮めてくれるようだった。

「なんだそれ」

 ふと、九条先生が吐き捨てるように言った。

「四年も――とんでもないクズですね、その男」

 眉間を顰めた彼の表情は本気で怒っているように見える。

「ええ……まあ。私もそう思います」

「ふざけるなっ」
 荒ぶる声にギョッとして、私は飲もうとして上げたグラスを持つ手を止めた。

 先生はまるで相手の男が目の前にいるかのように一点を睨みつけていた。忌々しげに歯を食いしばり、グラスを持つ手はふるふると怒りに震えているようで、そのままでは割れてしまうんじゃないかと心配になる。

「あ、あの、九条、先生?」

 私の呼びかけに気づき、ハッとしたように我に返ったらしい彼は、きまり悪そうに笑ってポリポリと頭を掻く。

「あ、あはは、すみません、つい」
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