ワンコなふりしてドSだなんて、どういうことですか!
 それは仕方がないと思う。
 一部の人にとって恋愛と結婚は別だというのもわかる。

 けれども四年はあまりに長い。
 彼はどんなつもりでプロポーズをして私を縛り、のらりくらりと交際を続けたのか。

 冷静になるにつれて、少しずつ見えてきた彼の本音に、心が押し潰されそうになる。
 彼の不誠実さを、どうしてもっと早くに見抜けなかったんだろう。

 悶々としていたある日の夜勤帯。深夜二時を回り、病棟が静まり返った頃、誰かが、私の手元にそっと湯気の立つ紙コップを置いた。

「深結、ちょっと休憩。温かいココア、淹れてきたよ」

「あ、露子。ありがとう」

 なんでもないふうを装って微笑んでみせたけれど、露子は少し心配そうに眉を下げて、私の隣の丸椅子に腰掛けた。

「大丈夫? ちょっと、頑張りすぎじゃない? なんだか痩せたように感じる」

 優しい露子の声に、胸の奥がキュッと締め付けられる。

「正直言うと、ちょっとつらいかな」
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