ワンコなふりしてドSだなんて、どういうことですか!
【このところ、ちょっと忙しくてメッセージが送れませんでした。ごめんなさい】

 それには笑った。どうしてあやまるの?

【私は九条先生の元カノではありませんし、気にしなくて大丈夫ですよ。そもそも先生が私にメッセージを送る理由はありませんから】

【元カノって? ああ俺の友人の彼女の話ですか? ちなみにあの話は本当に友人の彼女の話で、俺にはそんな女性はいませんよ?】

 ええっ? もしかして彼の話は本当でて、私が勝手にたとえ話だと勘違いした?

【俺は雪村さん一筋ですから】

 またふざけたことを。

【本当に、本当に友人の話だったんですか?】

【ええ、もちろん。何度でも言いますが、俺は雪村さんしか愛せない体質なんです】

「こ、この――」

 頬を染めてプルプルと拳に力が入った時、ナースコールが鳴り、スマートフォンを置起いた私は慌てて病室へと向かった。急ぎ足で廊下を進みながら、フッと顔が綻ぶ。

 ふざけた男だ。
 飛んで行って一発殴ってやりたいところだけど、おかげでブルーな気持ちがどこかに飛んでいってくれたから許してあげようと思う。

 今の私にとって露子の存在が一番大きいのには違いないが、彼のこのふざけたメッセージに助けられているのも事実だから。

 それからも、ふとした瞬間堪らなくつらくなったり、大丈夫だと勇気をだしたり、九条先生からのメッセージに笑ったりして毎日が過ぎていった――。
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