ワンコなふりしてドSだなんて、どういうことですか!
 勤め先の大学病院で誠一郎さんと出会い、一年後交際をスタートさせて、その年のクリスマスの夜に『僕が一人前の心臓外科医になったら結婚しよう』と言われたとき、その夢は手の届くところにあると胸を躍らせた。

 バカみたいに、純粋に、彼の言葉を全部信じていたあの頃の自分が思い出されて、どうしようもなく悲しくなる。

 今日だってそう。

 彼を信じ、もしかしたら今日はそのままホテルに泊まり、零時を迎えたら〝誕生日おめでとう〟なんて、彼に祝ってもらえるかもと胸をときめかせていた。そのために今日明日と休みを取っていたし、誠一郎さんも土日は休みだから。

 ドレッサーの前で長いこと時間をかけてゆるふわに髪をまとめ、いつもより念入りに化粧を施し、新調しておいたワンピースを着てきた。それなのに――。

 なにがいけなかったんだろう。

 三年前はいつか結婚しようって言ってくれたあのときは、両親を説得できるつもりだったの?

「でもさ」

 ふいに向かいの席の露子はそう言って、最後に残った焼き鳥の串を取る。

「ん?」
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