ワンコなふりしてドSだなんて、どういうことですか!
『桜風病院』は、世田谷にある病床数五十床ほどの私立病院だ。
大学病院のような大所帯ではなく、内装も設備も行き届いていて、大病院というよりは高級クリニックに近い落ち着いた雰囲気がある。
ひなちゃんから聞いていた通り、清潔感漂う綺麗な病院だった。
事務長の面接を経て、正式に採用が決まったのは九月中旬。
それから師長に退職の意向を伝えると、彼女は残念そうに表情を歪めて引き止めてくれた。それでも私の意志が固いと伝わったようで、最後は「新しい場所でも頑張りなさい」とエールを送ってくれた。
「あなたなら。どこでもやっていけるわ」
「ありがとうございます」
可能な限りギリギリまでいてほしいと言われて、交渉の末ひと月後に退職と決まった。これで今度こそ先に進める。ホッと肩の荷を降ろし、廊下を歩いていたときだった。
「誰? あの女性」
心臓血管外科の医局から出てきた二人のうちの看護師が訝しげにもう一人の看護師に聞いていた。すれ違い様に聞こえた声は――。
「白石先生の婚約者だってよ」
大学病院のような大所帯ではなく、内装も設備も行き届いていて、大病院というよりは高級クリニックに近い落ち着いた雰囲気がある。
ひなちゃんから聞いていた通り、清潔感漂う綺麗な病院だった。
事務長の面接を経て、正式に採用が決まったのは九月中旬。
それから師長に退職の意向を伝えると、彼女は残念そうに表情を歪めて引き止めてくれた。それでも私の意志が固いと伝わったようで、最後は「新しい場所でも頑張りなさい」とエールを送ってくれた。
「あなたなら。どこでもやっていけるわ」
「ありがとうございます」
可能な限りギリギリまでいてほしいと言われて、交渉の末ひと月後に退職と決まった。これで今度こそ先に進める。ホッと肩の荷を降ろし、廊下を歩いていたときだった。
「誰? あの女性」
心臓血管外科の医局から出てきた二人のうちの看護師が訝しげにもう一人の看護師に聞いていた。すれ違い様に聞こえた声は――。
「白石先生の婚約者だってよ」