ワンコなふりしてドSだなんて、どういうことですか!
 震える唇を噛み締めながら念じるように思った。

 あとひと月よ。あとひと月――。
 それですべてが終わる。

 長すぎるひと月。
 それでも、患者の言葉以外には耳を塞ぎ、目を閉じる思いで黙々と目の前の仕事だけに集中した。
 果てしないほど遅く動く時計の針をときには呪ったりもして、それでも確実に時間は過ぎた。

 そして、その間も九条先生からのメッセージは来た。

【雪村さん、やっぱり転職しませんか? 俺がいくらでも紹介しますから。というか、一緒に働きましょうよ】

 九条先生には転職の話はしていない。

 この前聞いた話によると、彼は大学病院での研修を経て、脳神経外科を目指し優秀な脳神経外科医がいる八王子の病院に籍を置いて研鑽を積んでいると言っていた。

 もちろん彼のいる病院には絶対に行かないが、ありがたいお話なので一応お礼は言っておく。

【ありがとうございます。でもご心配なく】

【つれないなあ】
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