ワンコなふりしてドSだなんて、どういうことですか!
 それには思わずあははと笑った。彼からのメッセージはだいたいふざけていて、その気楽さが私の重たい心をほぐしてくれた。

 今では彼からのメッセージを少し楽しみにしているところもあるので、返事に労いの言葉を添えてみたりした。

 そんなこんなで迎えた退職の日。

 大勢の医師や看護師が慌ただしく行き交う病棟の片隅で、ひっそりと花束をもらい、別れを悲しむ同僚看護師の涙にもらい泣きをしたりして。

 白い巨塔のようなこの病院で、私が過ごした五年間という月日は、ある意味あっけなく形だけの挨拶へと収束した。

 泣きながら覚えた採血の手順、夜勤明けに足が棒になるまで立ち続けた長い廊下、先輩に叱られながら少しずつ身につけてきたこと。
 ここで積み上げてきたものは決して少なくなかった。なのに結局、私がこの病院を去る理由は、仕事でも夢でもなく失恋……。それが少し情けなかった。
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