ワンコなふりしてドSだなんて、どういうことですか!
「まさか、こんな若造が無理ですって。副院長は体調が悪くてお休みしているんです。僕はただのお手伝い。ここ、僕の実家が経営しているのでね」

「えーー!」
 私は思わず声を上げて絶句した。

 あまりの衝撃の事態に、頭の中が激しく混乱する。

「あれ? 言いませんでしたっけ?」

 プルプルと大きく左右に首を振る。
「聞いてません!」

 実家が経営する病院――。そういえば彼は有名な医師一族のお坊ちゃんだと聞いていたけれど、まさかそれが、この病院だったなんて、夢にも思わなかった。

 けれど、驚きと同時に、どうしても腑に落ちない疑問が胸の奥からせり上がってくる。私は動揺を必死に抑えながら、恐る恐る彼を見つめた。

「あの……九条先生。私、数日前に先生にメッセージをお送りしましたよね? もうお構いなく、どうぞお元気で、と……。あのとき先生は、私がこちらの病院に転職することをご存知だったんですよね? なのに、どうして何も仰ってくださらなかったんですか……?」
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