キスするくせに、彼氏じゃない。
ページをめくる音が、ときどき重なった。

 

窓の外では、運動部の声がしている。

図書室の中にも何人かいるけれど、誰もこちらを気にしていない。

 

私はいつの間にか、隣に人がいることを忘れていた。

 

主人公が、家出をした弟を迎えに行く場面だった。

怒るつもりで駅まで来たのに、弟がお腹を鳴らした途端、二人で笑ってしまう。

 

思わず口元が緩んだ。

 

「面白い?」

 

小さな声に、顔を上げる。
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