キスするくせに、彼氏じゃない。
教室へ戻る途中で、女子二人とすれ違った。

 

どちらも、知らない顔ではなかった。

たぶん同じ学年。

 

「黒王子、普通に話すんだ」

 

背後で聞こえた声に、私は一瞬足を緩めた。

 

隣の瀬川くんは、そのまま歩いている。

 

もう一人が、小さく何かを返した。

名前は聞こえなかった。

でも、二人がこちらを見ていたことはわかった。

 

黒王子。
< 146 / 756 >

この作品をシェア

pagetop