キスするくせに、彼氏じゃない。
誰のことだろう。

 

私は隣を見上げた。

 

黒い髪。

愛想がないというほどではないけれど、誰にでも笑いかける人ではない。

 

……まさか。

 

「瀬川くん」

「ん?」

 

聞こうとして、やめた。

 

自分にそんな呼び名がついていたら、私なら聞かれたくない。

 

「何でもない」
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